2015年8月12日水曜日

川内原発再稼動で思うこと

311で私たちは、時代の変化を確かに感じた。一度、変わった潮目は変わることはない。為政者たちはどんなに、旧体制に戻ろうと、舵を切るが、所詮、小手先の抵抗でしかない。JOJO

川内原発再稼働でも立ち直れない原子力ムラ



(更新 2015/8/12 07:00)








川内原発 (c)朝日新聞社 




 再稼働に向けた原子力規制委員会の審査にはこれまでに15原発25基が申請し、九州電力の川内1、2号機のほか四国電力の伊方3号機などが合格している。

 しかし、「行き先が不透明な船出」(経産関係者)だけに、三菱重工、東芝、日立の原子炉メーカー「御三家」を頂点とする原子力産業は揺れている。

 昨年8月に開催された経済産業省の原子力小委員会。

「原子炉メーカーが技術やノウハウを維持し続けるためには、1グループあたり10年に2基新規に建設をする必要があります」

 担当者の説明に対して、委員の九州大学の吉岡斉教授が「それなら3グループを1グループにすればよいのではないでしょうか」とつぶやくと、周囲が凍りついた。

 その後、東芝の不正会計問題が発覚。2006年に東芝が巨額買収した原子炉メーカーのウェスチングハウスなどが震災後、実質的に不良債権化していることが明らかになった。

 そのツケが重くのしかかり、歴代3社長らを含む8人の役員が退陣した。

「記者団の前で元会長と元社長が口ゲンカするような会社で今も大混乱し、立て直しの戦略も考えられない状態です。ウェスチングハウスの株を売却したいが、東芝はもともと約2千億円の企業価値だった同社をのれん代という名目で3倍以上の高値で買った。今、投げ売れば、数千億円の減損処理をしなければならず、進むも地獄、戻るも地獄です」(経産省元幹部)

 だが、関係者の間では「いずれ、ウェスチングハウス、東芝の原子力部門は三菱重工が吸収するのではないか」という見方が強い。

「ウェスチングハウス買収の入札には東芝だけでなく、三菱、日立も参加し、もともと同社と同じ型の原子炉を扱う三菱が有利と目されていました。だが、ふたをあければ、東芝の逆転勝ち。当時の経産省幹部は東芝に買収させたのは自分たちだ、と周囲に豪語していました」(原発業界関係者)

 買収が行われた06年当時、経産省は「原子力立国計画」として原発輸出などを官民一体となって推進する国策をぶち上げ、産業界の利害調整をしたという。元東芝原子炉技術者の証言。

「(東芝の)事業部は必死でした。国が原発輸出というアドバルーンを上げるとそれに飛びつきました」

 ところが11年3月11日、原発事故が起き、民主党政権は翌年、官邸主導で「30年代原発ゼロ」という方針を打ち出し、原子力産業は存亡の危機を迎えた。

 だが、野田内閣が同年秋、「原発ゼロ」を閣議決定しようとすると、経産省、東芝が代々、役員を送り込む日本経済団体連合会などが猛反発した。

「内閣官房参与から原子炉メーカーに天下った経産省元事務次官、同省幹部らが民主党の原発推進派と結託。米国の知日派重鎮が≪原発廃止は容認しない≫などと書いた『第3次アーミテージ・ナイ・レポート』(12年)を利用し、ゼロ派を切り崩し、閣議決定を見送らせた」(当時の政府高官)

 安倍政権になると、エネルギー政策は経産省主導に再び戻り、「原発ゼロ」を阻止した経産幹部らが官邸入り。首相にトップセールスさせて、国内メーカーの原子炉を世界中で再び売り込んだ。

 しかし、事故後、脱原発を宣言したドイツをはじめとする欧米各国は、事故への懸念もあり原発建設に慎重な姿勢を示すようになった。東芝が受注していた米サウス・テキサス・プロジェクト原発の増設は、震災後凍結された。世界一の原発市場と期待される中国でも、震災後は計画の凍結や停滞が相次いでいる。一昨年、原発建設で政府間合意にこぎつけたトルコも計画が中断しているという。

 さらには原発建設による企業リスクも浮上。

 三菱重工が納めた機器の故障で米国の原発が廃炉になったとして、運営する米企業は先月、三菱重工に約9300億円の損害賠償を求める申し立てをした。前出の元東芝の技術者は言う。

「かつて、原子炉メーカーは電力会社と蜜月関係にあり、売り上げも安定した業界と言われていました。ただ、国内でも1990年代から原発の不具合に伴う損害賠償責任をメーカー側が負う方向になり、今やリスクが大きすぎる業界です」

(本誌・上田耕司、長倉克枝/桐島 瞬)

週刊朝日 2015年8月21日号より抜粋

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